弁護士法人心 東京法律事務所に所属しております、弁護士の宮城と申します。
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主婦休損について
今回は、いわゆる主婦(主夫)休損(家事従事者の休業損害)について裁判例も交えつつお話したいと思います。
そもそも、主婦休損が認められる理由としては、家事労働も、第三者に頼めば本来は一定の報酬を支払わなければならず、家族関係を含む一定の関係があるために金銭による対価支払いが行われていないだけてあり、本来は報酬相当の利益を確保していることになるため、現実収入はなくとも受傷のために家事に従事することができなかった期間につき、休業損害が認められるとされています(最判昭和50年7月8日参照)。
主婦休損の計算方法は代表的なものとして2つあり、一つは、逓減方式(日額×期間1×〇%(労働能力喪失率)+日額×期間2×〇%・・・)という、段々症状が良くなっていくものであるからそれに伴い家事労働への支障も少なくなるという方式と、もう一つは、日額×認定休業日数方式です。
それぞれ裁判例を見ていこうと思いますが、逓減方式の裁判例としては、横浜地判平成30年9月27があります。
「原告は、本件事故発生から90日は家事労働が不能であったとして平成28年賃金センサスの女性、学歴計、30~34歳の年収379万6700円(甲11)を基礎収入として算定した休業損害93万6180円を請求している。
本件において、医師による具体的な就労制限があったとは認められないものの、原告の供述(甲3、原告本人の尋問調書2頁、3頁、8頁、9頁)から本件事故発生から90日は家事労働に支障を来したことが認められる。しかし、その割合としては最初の30日は急性期であるが、入院とは異なるので休業率70パーセント、次の30日は回復期として休業率を50パーセント、最後の30日は相当程度回復したと認められるから休業率を20パーセントと評価するのが相当である。そうすると次のとおり、休業損害43万6881円が本件事故と相当因果関係のある損害であると認められる。
被告らは、原告は、本件事故当時、約4歳と約7箇月の子供の2人の育児をしていたものであり、いわゆる抱っこが必要な子供の育児をしていたものであり、それを原因とした頸部等の痛みや頭痛が継続していたことも十分考えられるとして、育児を原因とする症状について、本件事故と相当因果関係のある損害とはいえないと主張し、また、B整形外科の診療録において、B整形外科での治療期間全てにおいて、医師によるいわゆる就労制限や、原告本人による家事労働が困難であると訴えがあったとの記載は全く存在しない旨主張する。
しかしながら、原告が請求しているのは、家事従事者としての休業損害であり、家事労働について医師が具体的に指摘することは余りないと考えられる上、家事労働が困難であると本人が訴えたとしても必ずしも診療録にそれを記載するとも限らない。また、幼児、乳児の育児の抱っこに関する被告らの主張については、前記のとおり、一般論と推測に基づくものであり、本件において、それを裏付けるような具体的な証拠はなく、採用することができない。
3,796,700÷365×30×0.7=218,440(小数点以下四捨五入)
3,796,700÷365×30×0.5=156,029(小数点以下四捨五入)
3,796,700÷365×30×0.2=62,412(小数点以下四捨五入)
218,440+156,029+62,412=436,881」
という内容でした。
一方で、日額×認定休業日数方式の裁判例としては、神戸地判平成25年11月28日があります。
「(ア)基礎収入について
前記一の認定事実によれば、原告は、老健施設の介護士として稼働し(年収は約二七五万円)、かつ、家庭にあっては主婦であり、休業損害算定の基礎収入としては、本件事故当時の平成二二年度賃金センサス産業計・企業規模計・女子学歴計・四〇~四四歳平均年収額である三八一万五一〇〇円とすべきである。
(イ)休業期間について
前記一の認定事実によれば,原告は、本件事故当日の平成二二年一一月一〇日から、職場復帰の前日である平成二三年二月二〇日までの一〇三日間につき、仕事はもとより家事労働についても行うことができない状態であったと認められる。
(ウ)したがって、原告の休業損害は、次のとおりとなる。
381万5100円÷365日×103日=107万6589円」という内容でした。
このように、主婦休損も計算方式が様々であり、奥が深いものになりますので、主婦休損でお悩みの方は、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。