交通事故のご相談を多く対応していると、「仕事に復帰すると治療費が支払われなくなりますか?」という質問を受けることがあります。
ご質問の背景としては、保険会社の担当者から仕事に復帰すると治療費が支払えなくなると言われた方や周囲の方から同様のことを言われた方、ご自身で考えて不安に思われた方など様々です。
交通事故の治療費の支払は、治療の必要性と相当性が認められる範囲で行われます(いわゆる症状固定までの治療費に限定されます)。
そのため、仕事に復帰したとしても、治療の必要性と相当性が認められるのであれば、治療費は支払われます。
たとえば、追突事故で、車両の損傷が中程度(修理費40万円程度)、事故により首と腰を負傷し、定期的に整形外科を受診している方がいらっしゃったと仮定して、この方が事故直後、首と腰の痛みが強いため仕事を2週間休まざるを得なかったが、痛みは続いているものの仕事に復帰できる状況になったため、2週間経過後に仕事に復帰した事例を考えてみます。
この場合に、主治医の見解としても治療が必要だと判断されている場合には、当然、痛みが残っており、かつ、事故からまだ2週間しか経過していないため、一般的には治療の必要性が認められます。
そのため、仕事に復帰した後も、治療の必要性と相当性が認められる範囲で治療費が支払われることになります。
このように、仕事に復帰できる状況と治療の必要性と相当性が認められる範囲は異なることが多くあります。
なお、前記の質問と併せて、「仕事を休んでいるのですが、いつまで、休業損害が支払われますか?」という質問もされることがあります。
休業損害が認められるためには、休業の事実だけでなく休業の必要性も認められる必要があります。
そのため、仕事に復帰できる状況であるにもかかわらず、休業している場合には、休業損害は認められないことになります。
休業の必要性は、その症状や仕事内容、主治医の意見、受傷の大きさなどを考慮して判断されるため、主治医に症状やどのような仕事内容に支障があるのかをしっかり伝えて、主治医の意見を得ておくことが大切です。
休業損害や治療費の支払いにお悩みの方は、交通事故に詳しい弁護士に相談すると安心です。