こちら側にも過失が生じると、保険料は上がってしまうのですか?

交通事故のご相談を承っていると、「こちら側にも過失が生じると、保険料は上がってしまうのですか?」という質問を受けることがあります。
これに対して、「車両保険や対物賠償保険、対人賠償保険などを使用する場合には、基本的には、保険料が上がりますが、これらの保険を使用しなければ保険料は、基本的には上がりません」とお答えしています。

1 保険の構造は?
 保険の構造は、大きく分けると4種類(厳密には特約なども含めるとそれ以上あります)です。
 ①相手方の賠償に関する補償で、かつ、お怪我に関する補償である対人賠償保険、②相手方の賠償に関する補償で、かつ、車両などを含む物的損害に関する補償である対物賠償保険、③ご自身側のお怪我に関する補償である人身傷害保険、④ご自身側の車両に関する補償である車両保険、の4種類です。
 このうち、対人賠償保険、対物賠償保険、車両保険、を使用すると、基本的には保険料が上がりますが(厳密には、無過失の場合には車両保険を使用しても保険料が上がらないことがあります)、人身傷害保険は使用しても、基本的には、保険料は上がりません。

2 任意保険を使用するかは基本的にはご自身で決めることができる
 ご自身に過失が無い場合には、対人賠償保険や対物賠償保険を使用する必要が無いことは当然ですが、ご自身に過失がある場合であっても、任意保険を使用するか否かは、基本的にはご自身で決めることができます。
 たとえば、車両を含む物的損害について、過失割合10対90、こちら側が相手方に45万円(50万円✕0.9)請求でき、相手方はこちら側に5万円(50万円✕0.1)請求できる事案(こちら側の車両保険を使用した場合も保険会社から50万円支払われると仮定)があったとして、車両保険と対物保険を使用することで保険料が10万円を超えて上がってしまうような場合には、車両保険や対物賠償保険などを使用せずに相殺合意を行う(45万円と5万円を相殺)などして、40万円を受け取る方が得になるため(車両保険の使用により得られる利益5万円+対物賠償保険の使用により得られる利益5万円=10万円である一方で、保険料が10万円を超えて上がってしまうため)、車両保険や対物賠償保険を使わないことが考えられます。

保険を使用すべきか否かについては悩ましいことも多いため、お悩みの方は弁護士に相談することも選択肢の一つです。