交通事故のご相談を対応していると、頸椎捻挫や腰椎捻挫などの傷病の方で、①「MRIで撮影したらヘルニアと言われ、医師からヘルニアは事故が原因かは分からないなどと言われたのですが、もう治療費は支払われないのでしょうか?」や②「MRIで撮影したらヘルニアと言われ、医師からヘルニアは事故が原因かは分からないなどと言われたのですが、後遺障害は認定されないのでしょうか?」、③「MRIで撮影したらヘルニアと言われたのですが、ヘルニアは後遺障害認定の対象ですか?」など様々なご質問をされる方がいらっしゃいます。
そこで、今回は、上記①〜③についてご説明したいと思います。
①と②について
仮にヘルニアが事故が原因か不明、または、事故と因果関係が無いとしても、事故前には頚部痛(腰部痛)が無く、証拠上認定される受傷態様に照らして受傷することが通常である場合には、基本的には、事故とヘルニアとの間の因果関係は認定されないものの、事故と症状との間の相当因果関係は認められます。
そのため、症状固定に至っていないのであれば、継続して治療費が支払われる可能性があります。
また、同様の理由から、残存した症状に関して、後遺障害が認定される可能性があります(器質的損傷を伴わない打撲や捻挫による頚部痛や腰部痛については、受傷態様、治療状況、通院頻度、年齢など様々な点を考慮して将来においても回復が困難な障害と捉えられるかが後遺障害認定のポイントであることは以前もお伝えしたとおりです)。
③について
ヘルニアが存在している、または、事故により生じたこと単体で後遺障害の対象となることは基本的にはありません。
あくまで、頚部痛や腰部痛など残存した症状が後遺障害の対象となり得ます。
ヘルニアがあるから後遺障害認定を受けられるということではなく、ヘルニアがあることにより、無い方に比べて症状が重篤化する可能性があり、また、将来においても残存する可能性が比較的高いことから、頚部痛や腰部痛などの残存した症状の後遺障害認定において認定方向に傾く一つの事情として捉えられることがあります。
交通事故に伴いヘルニアが見つかった場合、様々な疑問を持つ方がいらっしゃいますので、お悩みの方は、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。