池袋母子死亡事故

最近報道でも取り上げられているとおり,立て続けに死亡事故が発生しています。
その中でも,平成31年4月19日に池袋(東京都)で発生した母と子が亡くなられた事故(ここでは,「池袋母子死亡事故」といいます。)は,連日,報道で取り上げられています。
私も,交通事故を集中的に取り扱う弁護士として,死亡事故の悲惨さは理解していますが,今回,改めて,その悲惨さを実感しました。
将来これからだった母子の人生,最愛の妻と子を突然失った夫の気持ちを考えると,とても辛い気持ちになります。
いても立ってもいられず,本日,事故現場に赴き,お花を供えさせていただきました。
現場には,たくさんのお花や飲み物が供えてありました。
多くの方が,私と同じ気持ちだと実感しました。

報道によると,池袋母子死亡事故を起こしたのは,87歳の高齢者ドライバーでした。
池袋母子死亡事故に関連して,再び,高齢者ドライバーの事故について関心が高まっています。
いわゆる団塊世代は前期高齢者(65歳以上75歳未満の人のこと)に該当し,高齢者の割合が増加しています。
そして,平成29年度の交通事故の統計では,運転者が第1当事者となる交通死亡事故件数(免許保有者10万人当たり)を年齢層別にみると,80歳以上は他の年齢層(16歳~19歳の年齢層を除く)に比べて2倍以上多くなっています(平成30年交通安全白書参照)。
このような現状を踏まえると,高齢者による事故の対策は急を要しています。
この点,自主的に免許を返納すること(運転免許自主返納)により,特典として,高齢者を対象に,公共交通機関の料金を割引ないし無料にする取り組みを行っている地域もあります。
もっとも,地方では,自家用車を使用しないと不便な地域が多くあり,運転免許自主返納の特典で解決できる問題は一部です。
そのため,すべての地域で,自家用車の代わりになる「足」を作っていくことが必要だと思います。
交通事故を集中的に取り扱う弁護士として,少しでも交通事故が減り,被害者の方・遺族の方がつらい思いをすることが少なくなればと願うばかりです。