交通事故で車両が壊れた場合、被害者は加害者に対して物的損害を請求することができます。
物的損害には、様々なものがありますが、今回は、事故の早い段階で注意すべき賠償項目である代車料についてお話しいたします。
交通事故により所有車が損傷した場合、代車を借りる方も多いと思います。
しかし、代車料が無条件で賠償金として認められるとは限らないことに注意が必要です。
たとえば、車両を複数所有している方が、特に代車がなくても日常生活に支障がないにもかかわらず、代車を借りる場合には、代車料が賠償金として認められる可能性は低いです。
これは、代車の必要性(代車の使用が日常生活に必要であること)がないと認定される可能性が高いためです。
一方で、通院、通勤、日常の買物、外出等に使用するために代車を使用した事案において、代車料を賠償金として認めた裁判例があります(東京地裁平成6年10月7日判決)。
このように、代車の必要性については注意が必要です。
代車の必要性がある場合であっても、代車料が認められる期間が限定されることが多いです。
一般的には、分損(修理費よりも車両の時価額が高い場合)においては、1~2週間程度、全損(修理が不可能の場合、または、修理費よりも車両の時価額が低い場合)においては、1か月程度が認められることが多いです。
上記のような代車料の認められる期間からすると、事故後、速やかに修理するか買い換えるか決断をしないと、発生した代車料のうち最終的に自己負担になってしまうことがあります。
ですので、代車料については、できる限り早めの対応が必要になります。
また、仮に代車が必要になった場合であっても、実際に代車をしていない場合や代車料の支出がなかった場合には、賠償金として認められません。
このように、代車料については、注意点が多数あります。代車料でお悩みの方は、一度、交通事故に詳しい弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。