交通事故に遭ってお怪我をされた方が、治療中に、再度、交通事故に遭い、お怪我をされ、前の事故で負傷した箇所が悪化した場合、異時共同不法行為として特殊な対応が必要な場合があります。
そこで、今回は、異時共同不法行為についてお話しします。
異時共同不法行為については、共同不法行為(民法第719条1項後段)として処理する考え方と共同不法行為ではなく、別々の事故としてそれぞれを処理する考え方があります。
共同不法行為として処理する考え方の場合には、1つ目の事故の加害者と2つ目の事故の加害者が、原則として、連帯して被害者に生じた損害の全額を支払う義務があります。
被害者にとって有利な考え方といえます。
一方、別々の事故で処理する考え方の場合には、それぞれの事故の損害等を個別に証明しなければならず、被害者にとって、それほど有利な考え方とはいえません。
裁判例も共同不法行為として判断した事案(東京地判平成21年2月5日)と共同不法行為ではないと判断した事案(名古屋地判平成26年6月27日)があります。
事案の内容等によっても判断が異なると考えられるため、共同不法行為として処理されない場合に備えて準備しておくことが大切です。
具体的には、2つ目の事故の賠償との関係で、1つ目の事故の影響を考慮して、賠償金を計算される可能性があるため、2つ目の事故の治療継続中には、1つ目の事故の示談は行わず、2つ目の事故の賠償金の交渉を進めてから、1つ目の事故の示談を進めた方が無難です。
また、自賠責保険との関係で、1つ目の事故について、示談が成立していると、仮に、症状が残存した場合であっても、1つ目の事故の影響は考慮されない可能性があります。
そのため、1つ目の事故の示談は、より慎重に進める必要があります。
このように、異時共同不法行為は、気を付けるべき点がありますので、異時共同不法行為でお悩みの方は、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。