示談金額無料チェックサービスについて

交通事故案件を多く対応させていただいておりますが、この中で、示談金に関するご相談も多くあります。
そこで、今回は、弁護士法人心で行っている示談金額無料チェックサービスについてお話ししたいと思います。
示談金額無料チェックサービスは、交通事故の被害者の方が保険会社から示談金(賠償金)の提示があった場合に、弁護士が無料で示談金額が適正であるかを無料でチェックするサービスになります。
保険会社は、相場より低い金額で示談金を提示することも多くあります。
たとえば、慰謝料の金額が弁護士基準ではなく、自賠責基準や任意保険基準で提案されていることや、主婦の休業損害賠償について日額が約1万円ではなく6100円で提案されている場合には、相場より低い金額である可能性がありますので、要注意です。
また、後遺障害が認定された場合に、たとえば、14級の自賠責保険金である75万円を後遺障害慰謝料と逸失利益の合計額としている事案は、相場より低い金額である可能性が高いため、要注意です。
その他、実際生じている交通費が計上されていない事例や、実際に生じている休業損害が計上されていないこともあります。
私の経験でも、休業損害が計上されていない事案や相場の半分以下の金額で提示されていた事案もありました。
こういった事案のご相談があると、弁護士としても、相談していただいて良かったと思うことがあります。
もちろん、その中には、実際にご依頼いただいて解決した事案も多くあります。

示談書の取り交わし後では、基本的には、示談金額を争うことができなくなるので、示談前に相談することが大切です。
本当に提示されている金額が妥当なのだろうか?と考える一方で、弁護士に相談するとお金がかかってしまうのでは?と考えて、相談をためらう方もいらっしゃると思います。
示談金額無料チェックサービスでは、無料で示談金額のチェックを行っており、相談料は無料ですので、安心です。
示談金額でお悩みの方は、お気軽に弁護士法人心にご相談ください。

物的損害に関する注意点

今回は交通事故案件における物的損害に関する注意点についてお話しします。

まずは、代車料についてですが、交通事故により車両が損傷した場合に、修理ないし買い替えするための期間、代車を借りることがあると思います。
この代車料については、事案の内容によっても異なってきますが、全損(修理費と車両の時価を比べて修理費が高い場合や修理ができない場合)であれば、30日程度、分損(修理費と車両の時価を比べて車両の時価額が高い場合)であれば2週間程度とされることが裁判例でも多いです。
全損の事案では、手元に購入資金がない方も多く、物的損害に関して示談してから、その示談金を元手にして新車を購入する方もいらっしゃいます。
もっとも、事故後から代車を借りていると、新車の納車日まで保険会社が対応する代車期間が過ぎてしまうことがあります。
そのため、できる限り早めに新車の購入手続きを進めていくことが大切です。
被害者の場合には、まずは、相手方の保険会社との交渉で、できる限り代車を対応してもらうことはもちろんですが、場合によっては、ご自身が加入している代車特約を使用することなども検討する必要があります。

また、分損事案で、過失割合が争点になる事案では、修理を進めたものの、過失割合に争いがあるため、示談できないことから、修理費を立替払いする必要が生じることがあります。
過失割合が生じる場合に、修理費の立替払を行う資金があるか、車両保険に加入している方は車両保険を使った場合の保険料の上がり幅がどの程度か、などを事前に調べておくと良いと思います。

その他、全損の事案で、買替諸費用の一部(同年式、同車種の中古車を買い替えた場合の費用の一部)が賠償金として認められることがあります。
そのため、新車を購入した注文書や同年式、同車種の中古車の買い替えの見積書の写しなどを保険会社に提出することにより、買替諸費用の一部が支払われることがあります。
保険会社によっては買替諸費用を計上せずに示談金を提案してくることがありますので、注意が必要です。

このように、物的損害については注意点がいくつもありますので、物的損害にお悩みの方は交通事故に詳しい弁護士に相談してみるのも一つだと思います。

自損事故で負傷した場合の対応方法

今回は、自損事故で負傷した場合の対応方法についてお話しします。
自損事故で負傷した場合には、自己負担で治療費の支払いをせざるを得ないと考える方が多いです。
しかしながら、人身傷害補償保険や自損事故対応の保険を使用して、治療費が支払われることがあります。
その際、自動車に乗ってる時の自損事故であれば、その自動車に付帯されている保険を確認することはもちろんですが、ご家族の方が加入している自動車保険が使えるケースもありますので、ご家族の保険まで確認することをお勧めします。
なお、人身傷害補償保険が使える場合には、治療費だけでなく慰謝料なども支払われることが一般的ですので、確認することをお勧めします。

また、自動車保険等が使えない場合であっても、通勤中や業務中の事故の場合には、労災保険が使える場合があります。
労災保険が使用できる場合には、治療費や休業補償の一部が支払われることがあります。
たとえば、労災保険が使える自損事故により休業した場合には、労災の休業補償として平均賃金の60%を給付日額として支払われることがあります。
さらに、上記休業補償とは別枠で、平均賃金の20%を給付日額として休業日に応じて休業特別支給金が支払われることがあります。

労災保険の休業補償給付と合わせて特別支給金の申請をした方が、全体で、日額の80%を補償されることになりますので、是非、ご活用ください。

人身傷害保険を使用して休業補償として10割受け取り、かつ、労災の特別支給金で20%受け取ることも可能ですので、特別支給金の申請は忘れずに行っておきたいところです。
なお、労災保険からは慰謝料は支払われません。

自動車保険も使用できず、労災保険も使用できない場合には健康保険を使用して通院する形になりますが、上記のとおり、自損事故の場合であっても、自動車保険が使えることがあり、労災保険が使えることもありますので、自損事故を起こした場合には、ご自身の保険はもとよりご家族の保険、労災保険が使えるかなどを確認することをお勧めします。

裁判をしたくない場合でも弁護士に依頼できますか?

法律相談を行っていると、よく、「裁判をしたくない場合でも弁護士に依頼できますか?」との質問を受けることがあります。
もちろん、裁判をしたくない場合でも弁護士に依頼することは可能です。

弁護士に依頼すると裁判になるというイメージが強いかもしれませんが、実際、弁護士の業務は幅広く、裁判だけでなく、示談交渉、契約書のリーガルチェックなど様々です。
そのため、弁護士に依頼するときに、受任範囲(委任範囲)を示談交渉に絞って依頼すれば、安心です。

私が多く扱っている交通事故分野においては、実は、示談交渉で解決するケースがほとんどです。
保険会社も被害者の方も早期に解決したいという意向が同じであることが多く、示談で解決することが多いのが実態です。
もちろん、保険会社が適切な賠償金を提示しないために、裁判になるケースもありますが、あくまで依頼者の方が望んだ場合に、訴訟(裁判)を提起する形になります。

交通事故案件で弁護士に依頼すると、法的なアドバイスを受けられることはもちろんですが、交渉を任せることができるため心理的負担の軽減につながることが多く、治療に専念しやすくなることがあります。
そのようなメリットに魅力を感じる一方で、「弁護士に依頼すると裁判になってしまうのでは?」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、依頼するかはともかく、一度、詳しい弁護士に相談してみるのが良いと思います。
特に、交通事故分野では、弁護士が入っていないケースの場合、低額な賠償金が提示され、そのまま示談してしまうことも少なくありません。
保険会社は交通事故の対応経験が豊富である一方で、被害者の方は、事故の経験が少なく、場合によっては初めて事故に遭われた方も多いらっしゃいます。
そのような中で、ご自身の判断で示談してしまい、後で、適切な賠償金よりも低額であったことを知った時に後悔してしまう方もいらっしゃいます。
依頼するかは相談後に決めれば良いことなので、後悔しないためにも、詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

減収がない場合の後遺障害逸失利益の算定について

後遺障害逸失利益とは、後遺障害が認定された場合に、後遺障害がなかったのであれば得られたであろう収入等の利益をいいます。
減収がない場合には、基本的には後遺障害逸失利益が認められないため、この点についてお話ししたいと思います。

後遺障害逸失利益の計算方法は、一時金賠償の場合、一般的には、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数、により算出します。
たとえば、令和2年4月1日以降の事故、事故前年度の年収が700万円のサラリーマンの男性で、後遺障害等級第8級が認定された場合、症状固定時の年齢が42歳であれば、一般的には、700万円×45%(後遺障害等級第8級相当の労働能力喪失率)×17.4131(67歳までの労働能力喪失期間25年に対応するライプニッツ係数)=5485万1265円となります(事案の内容や証拠の内容によっても異なります)。

もっとも、後遺障害が認定された事例で、減収が無い場合には注意が必要です。
最高裁判所の判決(最判昭和56年12月22日)で、減収がない事案において、「特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はない」と判断しており、この「特段の事情」について、「たとえば、事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであって、かかる要因がなければ収入の減少を来たしているものと認められる場合とか、労働能力喪失の程度が軽微であっても、本人が現に従事し又は将来従事すべき職業の性質に照らし、特に昇給、昇任、転職等に際して不利益な取扱を受けるおそれがあるものと認められる場合など、後遺症が被害者にもたらす経済的不利益を肯認するに足りる特段の事情の存在を必要とするというべき」としています。
このように、裁判所の判断では、減収がない場合には、基本的には、後遺障害逸失利益が認定されないことになります。

後遺障害逸失利益に関しては、様々な裁判例がありますので、お悩みの方は交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。