交通事故案件のご相談を多く対応していますが、その中で、自賠責保険の補償範囲について問い合わせがあることが多いため、今回は自賠責保険の補償範囲についてお話します。
そもそも、自賠責保険は公道で自動車を運転する上で法律上義務付けられている、いわゆる強制保険です。
傷害分(治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料など)の上限は120万円、後遺障害分はその等級に応じて上限額が定まり、死亡分は3000万円が上限です。
自賠責保険では物的損害に関する補償はされません。
たとえば、相手方が任意保険に加入していない場合で、車両が損傷し、お怪我もされていた場合に、お怪我に関しては、自賠責保険で一定の支払いを受けることができますが、車両に関しての損害は、自賠責保険では支払われないことになります。
そのため、車両に関しては、相手方の任意保険があれば、任意保険会社に請求することになりますが、任意保険に加入していない場合には、相手方本人から支払いを受けることになります。
相手方本人が資力が無い場合には、事実上、回収が困難になることもあるため、要注意です。
自賠責保険の上限額は、あくまで上限に過ぎず、その中で細かい支払基準があります。
たとえば、傷害分に関しては、自賠責基準の慰謝料は、実治療日数✕2✕4300円、または、治療期間✕4300円、のうちいずれか低い金額になります。
過失割合当方0対相手方10、治療期間90日、実治療日数30日のむちうち症の方であれば、実治療日数30✕2✕4300円=25万8000<治療期間90日✕4300円=38万7000円であるため、自賠責基準の慰謝料は25万8000円になります。
なお、治療期間90日のむちうち症の弁護士基準の慰謝料は、53万円が目安になりますので、上記事例では自賠責保険では支払いきれない部分が20万円以上生じていることになります。
いずれにしても、交通事故の慰謝料でお悩みの方は、交通事故に詳しい弁護士に相談することがオススメです。