過失割合に争いがある事案または過失割合が大きい方の被害者請求についての注意点

交通事故のご相談が多くありますが、その中で、過失割合に争いがある事案や過失割合が大きい方の被害者請求について、気をつけるべきことがありますので、今回はその注意点についてお話したいと思います。

以前のブログでもお話しましたが、被害者請求は相手方の自賠責保険会社に対して、治療費や慰謝料の支払いを求める制度です。
被害者請求は上限(傷害分であれば120万円)とその支払基準が定まっており、その範囲内で支払の有無が判断されます。
被害者請求は、傷害分(後遺障害と死亡を除くお怪我に関するもの)について、過失割合が7割未満であれば自賠責保険の上限とその支払基準内であれば満額支払われることに特徴があります。
たとえば、6割の過失が生じる方であっても、自賠責保険の審査を突破できれば、傷害分について120万円の上限内で、自賠責基準満額を受け取れることになります。
さらに、過失割合が7割以上であっても10割未満であれば、傷害分について120万円の上限内で、自賠責基準の80%(20%減額)を受け取れることになります(10割過失がある方は相手方の自賠責保険から支払は受けられません)。
過失割合が大きい方は相手方保険会社から一括対応による治療費の支払を受けられないことが通常ですので、被害者請求は、過失割合が大きい方ほど活用できると心強いです。
もっとも、過失割合に争いがある事案や過失割合が大きい方については、様々な注意が必要です。
たとえば、過失割合に争いがあり、本人は過失割合が6割程度だと思っている場合でも、実際の事故状況や証拠の内容から過失割合が7割以上と判断されることもあるため、当初の予想と異なり20%減額されてしまうこともあります。
また、過失割合に争いがあり、本人はご自身の過失の方が低いと考えている場合であっても、事故状況や証拠の内容から本人の10割の過失が認められ、全く支払いがされないこともあります。
このように、過失割合に争いがある場合や過失割合が大きい方の場合には、予想外の結果となってしまうことがあるため、被害者請求を行うか否かを決める際には、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。